「地面師たちアノニマス」新庄耕著
「地面師たちアノニマス」新庄耕著
2010年4月、3年前に起きた地面師による詐欺事件を捜査する警視庁捜査2課の刑事・辰らは、首謀者のハリソン山中の逮捕にこぎつける。
取り調べ中、黙秘を貫く山中だが、辰と2人だけになると、突然話し始めた。山中はなぜか辰が妻と別居中で兄の家に居候していることまで知っていた。さらに、山中は大学に通う辰の次女が風俗店でバイトをしていることやその源氏名まで告げる。夜、半信半疑でその店を訪ねると、確かに次女が在籍していた。数日後、山中の不起訴が決定。検察に問い合わせても納得できる答えは返ってこない。(「街の光」)
ほかに法律屋の後藤やニンベン師の長井など、ハリソン山中が率いる地面師グループのメンバーの過去を描くスピンオフ短編7編を収録。
(集英社 693円)