ステージ3「結腸がん」70代患者はなぜ抗がん剤を受けられなかったのか?
心臓病の発症後にがんを患う高齢者も少なくない。当然、治療法は通常のがん治療とは異なる。心筋梗塞を患い大腸がんを併発した場合はどうなるのか。
都内在住の矢野英之さん(仮名=76歳)は、30年来の糖尿病患者。体重が約100キロもあり、当初は食生活の改善や運動など対症療法で済ませていた。血栓症や動脈硬化などがあり、10年前には心筋梗塞を発症し病院に搬送された。
「朝、職場に向かおうと玄関を出た途端、突然脱力して失神。気付いたときには病院のベッドの上でした」
手術は手足から取った3本の血管を、心臓付近の老化した血管と交換する大がかりなもので8時間を超えたという。
以来、自宅近所のクリニックで糖尿病治療を受けながら、他にも自宅から近い大学病院で「心臓」の定期検診も受けてきた。
「ここ3年ほど便秘状態が続き、昨年夏、検便の検査を受けました。そしたら便に血が混じっていると言われ、『大腸がん』の疑いで精密検査を受けたのです」