「強いヤツが偉い」高1でテングになった杉村太蔵のテニス部時代
テングになっちゃったわけだ。ただ、口先ばかりではなかった。下宿に一人暮らしでテニスに打ち込み、1年生からレギュラーと同じメニューで鍛えた杉村少年の実力はグングン伸びた。道内大会は、1年、2年ともダブルスで優勝を果たす。
■“テングの鼻”へし折られる
そして、高校3年の初夏。大会史上初のダブルス3連覇がかかった大会を迎える。杉村チームは順調に勝ち進み、決勝へコマを進めた。
「相手は、高校の同級生チームです。『俺はコート整備なんかしない』と息巻いていたころ、黙々とコート整備をしていたね。その彼らに、コロッと負けた。なんで負けんの? 一瞬、頭が真っ白になった。ま、油断もあったし慢心もあったんでしょうね。翌日、その彼が大会結果が載ったスポーツ紙を持ってきて『どうだ、太蔵』って差し出した。記事の彼のコメントを見て固まりましたよ。確か……『アイツは1年のときからレギュラーで、ボクはコート整備からスタートした。大変悔しい思いをした。でも今日勝てて本当にうれしい』と、そんな感じ。悔しかった~。このヤロ~、ですよ。そいつはアダチっていうんですがね。高校卒業後もずっと付き合ってる数少ない大親友のひとりです」