松竹が原発タブー打ち破る 東野圭吾原作「天空の蜂」の衝撃度
この作品は、日本映画史を変えるかもしれない。9月公開の映画「天空の蜂」が早くも話題になっている。
小説家東野圭吾による同名原作「天空の蜂」は、20年も前に原発行政のデタラメと嘘を明らかにし、福島第1原発の事故を予言したかのようだと再評価されている問題作。
映画も小説と同じく舞台は95年。福井県の高速増殖炉上空に、強奪された自衛隊の大型ヘリが現れる。高性能爆薬が積まれたヘリは、原子炉の直上800メートルでホバリングを開始。犯人からは、燃料切れまでの8時間以内に日本の全原子炉を破棄せよとの要求が発せられる――。
「これがなぜ問題作かというと、原発を推進するこの国の政府にとっての『不都合な真実』が赤裸々に描かれているからです。たとえば原発プラントの弱点は天井で、上空からの衝撃に極めて弱いこと。その天井近くに無防備で使用済み核燃料貯蔵プールという『爆弾』を設置してあること、そして何より『原発を全停止しても電力は足りる』こと。これらは福島第1原発の事故ですべて真実だったことが明らかになった。映画はこうした原発タブーを、臆することなく描いています」(映画批評家・前田有一氏)