二階堂ふみ 往年の映画から学んだ「この国の空」のヒロイン像
夏の意欲作として話題の映画「この国の空」(原作=高井有一、監督・脚本=荒井晴彦)は戦時下の性、隣人との愛情を描き、戦後70年の節目の作品としては異色の内容だ。主演は個性派、演技派として注目の二階堂ふみ(20)、共演・長谷川博己(38)。二階堂に意気込みを聞いた。
この映画のお話をいただいた時、決め手となったのは荒井監督の脚本でした。その中に、詩人・茨木のり子先生の「わたしが一番きれいだったとき」がありました。私がこの詩を知ったのは中学生の時でした。教科書で初めて読んだときに“これが戦争なんだ”と実感できたんです。
この映画では戦争そのものの悲惨な映像はありません。でも、里子(二階堂)も市毛(長谷川)も敗戦が色濃くなる日々の状況下で、すぐそこにある“死”に怯え、翻弄されます。
そもそも戦争がなければ、2人が惹かれ合うことはなかったと思うんです。里子は戦争という非日常の中で“自分は恋ができるか”“結婚できるのだろうか”と悩んでいる。2人の関係は恋なのか、愛なのか。人間が戦争という状況に置かれた時に求め合う――それは本能かもしれません。