亀梨が悪ガキ好演…中盤でも謎だらけ「怪盗山猫」の魅力
【連載コラム「TV見るべきものは!!」】
怪盗アルセーヌ・ルパンの孫が活躍する「ルパン三世」、「名探偵コナン」のライバルとして人気の怪盗キッドなど、日本テレビと“怪盗”は相性がいい。ドラマ「怪盗山猫」(日本テレビ系)も、その系譜を継ぐ一本になりそうだ。亀梨和也(29)がヤンチャな怪盗を喜々として演じている。
原作は神永学の「怪盗探偵山猫」シリーズ。悪いやつから金を盗むだけでなく、悪事も暴いてしまうダークヒーローである。
脚本の武藤将吾は映画「テルマエ・ロマエ」などで知られているが、原作を生かしながら人物を巧みにデフォルメしていく。このドラマにおける山猫も、生意気で自信満々なところは原作通りだ。しかし、武藤はそこに一見ハチャメチャな“おふざけ”キャラを加えた。
仲間の里佳子(大塚寧々)や勝村(成宮寛貴)や真央(広瀬すず)などといる時の山猫は、まるで手のつけられない悪ガキみたいだ。この増幅キャラのおかげで、山猫の本性は容易につかめない。視聴者の「コイツ、本当は何者なんだ?」という興味が持続していく。それは大塚寧々や広瀬すずなど女性陣も同様で、中盤に至っても謎だらけだ。また、誰と誰が裏でつながっているのか、その意外性も物語を刺激的にしている。
そうそう、女性刑事役の菜々緒(27)が大健闘だ。クールさと可愛さの合わせ技なら、今、彼女にかなう者はいないかも。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)