<第1回>ロマンポルノの現場は刺激的でした
ロマンポルノは予算も少なかったし、スタッフも多くはなかった。けれども、映画の面白さや作品を作るという志をひとつにして、朝から夜遅くまで現場で過ごすという、演劇とはまったく違うものづくりや、同じ釜の飯を食ってる同志感があるのも刺激的でした。
伴明さんとの出会いがあったからこそ、後に「ユニット・ファイブ」となる監督のメンバーとも出会うことができた。磯村一路さん、福岡芳穂さん、水谷俊之さん、米田彰さん、周防正行さんの5人です。皆さん、伴明さんの助監督出身の監督なんです。
■蓮實重彦さんの一言で一変した映画の評価
周防さんの監督デビュー作は「変態家族 兄貴の嫁さん」。これは小津安二郎監督への完全なオマージュなんですよ。当時の僕は30歳そこそこだけど、60すぎの間宮周吉という、小津作品でいうなら、笠智衆さんが演じる役どころです。「なんで僕のような若造が笠さんが演じた役をやるんですか」って聞いたら「漣さん以外にやってくれる友達がいない」って(笑い)。引き受ける上でこれほど説得力のある言葉はないですよね。