囲碁史上初7冠 井上裕太の才に磨きかけた1000局の鬼指導
まさに快挙だ。棋聖、名人、本因坊、王座など6つのタイトルを持つ井山裕太六冠(26)が20日、都内で行われた対局で伊田篤史十段を下し、「十段」のタイトルを獲得した。史上初の七冠の誕生である。
井山氏は1989年、東大阪市生まれ。5歳のとき、父が買ってくれたテレビゲームで囲碁の面白さを知り、小学校に上がる前の6歳で関西ローカルの囲碁番組に登場した。
このときミニ碁で大人を相手に5人抜きを達成。同番組の解説を務めていた石井邦生九段を「ここ一番の大事な場面でじっと考える姿に感心した。とんでもない才能だ」と驚嘆させ、弟子入りを許された。
■師匠は「自分のすべてを伝えよう」
井山氏の天才的な能力に磨きをかけたのが石井九段による1000局の指導だった。通常、囲碁の世界では、師匠が弟子と碁を打つのは入門したときと独立するときの2度だけとされる。ところが石井九段は「自分のすべてを伝えよう」と決め、実際に碁盤で打つほかインターネット対局などを使い、プロ入りまでに井山氏と1000局を打った。