映画に魅せられ離婚 「グッバイエレジー」監督の波乱万丈
アメリカで製作会社を設立しての15年間は、スポンサーから入るはずの製作資金が届かず、ショートして破産という経験を2度。金というのは、本当にない時はどうしようもないが、最後には何とかなる。あるという時も、何だかんだで消えていく。本当にイーブンなんだと思う。
私の右の手のひらには真ん中にほくろがあって、金運に恵まれていると言われたことがある。根拠があるわけでもないが、どんなに苦しくても、自信を持つようにした。必ず何とかなると。
■映画じゃ食っていけない、だけど……
2004年に帰国したら、日本の映画界では浦島太郎でした。それで40年ぶりに故郷の小倉に帰りました。そこで北九州市からの支援と1口5000円からの地元協賛金だけで、映画「グッバイエレジー」を撮ることができた。何とかなるのだ。あの貧乏に喘ぎながらも、映画に夢中だった中学時代、当時の親友を物語にしたら、あの頃の親友に再会できた気がした。
資金を募る時、「映画で儲けようとしても無理ですよ」と私は言うようにしている。その通りだからだ。映画じゃ食っていけないというのが48年の映画人生の結論。あるのは金じゃない何か。生きた証しとかそんな類いのものじゃないかと思っている。