名物TVマンが語る<中> 所ジョージは“面白がり方”が天才的
■世界のクロサワも演技指導一切なし
黒沢明監督も所さんのファンで、映画「まあだだよ」(93年)に起用され、他の役者さんには細かに注文を出していても、所さんは演技指導は一切なし。「所さんには、気持ちよく演じてほしかったんだよ」と言わしめるほどでした。
そのうえ相手に話しやすいスペースを作る才能が天才的。面白くなる“間”というか、“空間”を作ってくれるので、一緒に仕事した相手が「話しやすい、居心地がいい」のです。この魔法のおかげで我々は何度救われたことか。ある番組で横山やすしさんがゲストで登場した日のこと。テレビ局の玄関まで迎えに行くなり、やすし師匠の機嫌が悪く、「もしかしたら、やすし師匠が激怒するか、番組途中で退席するかも……」というほどのヒリヒリする場面が、いつのまにか軌道修正され、最終的にはやすし師匠は上機嫌で帰って行ったこともありました。
たけしさんは当時、収録に来ない、遅れるなんてこともありましたが(内容の必要性、自分でなくてもいいのでは、という疑問も含まれていたらしい)、所さんと一緒の時はそういった心配はありませんでした。