81歳で引退宣言 波乱万丈アラン・ドロン“悔いなき”人生
フランスの俳優アラン・ドロン(81)が先日、映画と舞台1本ずつ出演するのを最後に引退すると表明した。98年にも「すべてやりきったから辞める」と引退宣言、その後復帰したことがあるが、今回は高齢を理由にしておりその意志は固いといわれる。
アラン・ドロンといえば出世作「太陽がいっぱい」(60年)以来、「若者のすべて」や「冒険者たち」など数多くの映画に出演。二枚目スターの代名詞として日本でもアイドル的人気を博した。年齢とキャリアを重ねてもそうしたイメージを保ち続けた点も特徴的だ。その魅力について、映画批評家の前田有一氏が解説する。
「還暦近くなって希代のプレーボーイを演じた『カサノヴァ最後の恋』(92年)では、若いライバルと美女を取り合う役柄でしたが、こんな役に説得力を与えられるスターはそうそういません。ただこの手の“色男”的な大衆人気は日本独特で、欧米では芸術映画や舞台で活躍する個性派俳優としての評価も高いです」
母子家庭で育ち、17歳でフランス軍に志願入隊。インドシナ戦線で戦い、除隊後は世界各国を放浪する。その後カンヌ映画祭でスカウトされたのをきっかけに「女が事件にからむ時」(57年)で銀幕デビューする。