なまりで悩む斉藤暁を救う 先輩女優・吉田日出子の一言
人気シリーズ「踊る大捜査線」でお馴染みの秋山春海副署長を演じた俳優の斉藤暁さん(63)。NHKの朝ドラ「ひよっこ」で米屋の主として出演しているほか、多くのドラマの名脇役として活躍中だ。
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「なまりを直せ。福島に帰れ!」
稽古のたんびに先輩の役者から、どれだけこう言われたことやら。23歳だった1977年。その頃、六本木にあった「オンシアター自由劇場」(96年に解散)に入団して間もなくの頃でした。
必死になって標準語のイントネーションやアクセントに気をつけて、セリフを言ってるつもりなんです。でも、福島県郡山市に生まれて以来、体に染み付いた独特のズーズー弁はそう簡単に直らない。稽古の途中、何度も何度もやり直しをさせられて、それでもダメ。しまいにはなまりも標準語も何が何だかわからなくなり、どうしようもなくなったものです。本当につらかったですね。
かといって、俳優になりたくて地元のテレビ局の裏方の仕事を辞め、しかも、福島時代に所属していた劇団仲間の女性と結婚し(後に離婚)、背水の陣で上京しましたから、そう簡単にやめるわけにはいきません。