テレ東「ユニバーサル広告社」には普通の人の喜怒哀楽が
沢村一樹主演のテレビ東京系ドラマ「ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~」。ドラマの舞台となる、小さな港町にある「さくら通り商店街」は、全国各地にある“シャッター商店街”のひとつ。そこにユニバーサル広告社が移転してきたことで物語が動き出した。
だが、この会社は有名でも大手でもない。社長の石井(三宅裕司)、クリエーティブディレクターの杉山(沢村一樹)、デザイナーの村崎(要潤)、事務のエリカ(片瀬那奈)だけの極小会社だ。
舞い込む依頼も結婚式場のチラシ制作、鮮魚店の呼び込み企画など小さなものばかり。しかし杉山たちは、採算度外視で誠実な仕事をしていく。
もちろん広告ひとつで何かが劇的に変わるわけではない。杉山も、父親と純喫茶を営む娘・さくら(和久井映見)に、「広告は魔法ではありません。小さな輝きを大きな輝きに導き、その輝きを多くの人に知らせるのが広告です」と言っていた。これは納得できる。
原作は荻原浩の小説だが、脚本の岡田惠和のカラーが色濃い。とっぴな事件や出来事ではなく、普通の人の喜怒哀楽を大切にしているのだ。商店街の人たちの気持ちも、また杉山たち自身も、少しずつ変わってきた。それは十分にドラマチックだ。
「ひよっこ」を書いた岡田の脚本でもあり、沢村は「お父ちゃん」に、和久井が「愛子さん」に見える瞬間もあるが、それも“ひよっこロス”の視聴者に対する心遣いだと思えばいい。