著者のコラム一覧
ラリー遠田お笑い評論家

1979年、愛知県名古屋市生まれ。東大文学部卒。テレビ番組制作会社勤務を経てフリーライターに。現在は、お笑い評論家として取材、執筆、イベント主催、メディア出演。近著に「お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで」(光文社新書)などがある。

テレビ埼玉のロケ番組で復活 千鳥に訪れた“二度目の正直”

公開日: 更新日:

「幸運の女神には前髪しかない」

 という言葉がある。チャンスは二度と来るものではないから、来たときには必死でつかみに行かなければいけない、という意味だ。芸人にもここぞという売れるためのタイミングがあり、そこでうまく波に乗れないと、あとあと苦労を強いられることになる。

 千鳥の2人、大悟(37=写真左)とノブ(38=同右)に最初のビッグウエーブが来たのは、今から6~7年前のことだ。「THE MANZAI」で決勝に進んで一気に注目され、若者に人気のコント番組「ピカルの定理」の新レギュラーにも抜擢された。大阪から東京に出てきて、順風満帆に出世街道を歩んでいるように見えた。

 ところが、彼らは千載一遇のこのチャンスを生かし切れなかった。ひな壇系のバラエティー番組に出ても結果を残せず、仕事は思うように増えなかった。「ピカルの定理」もゴールデン進出後に視聴率が低迷して打ち切りとなった。

 大阪で10本以上のレギュラー番組を持っていた千鳥は、それぞれがボケもツッコミも器用にこなせる本格派の芸人である。しかし、東京の番組では長い間、そのポテンシャルを生かし切れずにくすぶっていた。

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