お決まりの「愛しあってるかい?」に込められた深い意味
少なくとも、盛り上がる観客に向けた能天気な言葉でないことは確かなようだ。清志郎は晩年のライブ会場で「今も世界では戦争が続いている。世の中がどんどんおかしくなっている」といった類いの言葉を観客たちに投げかけ、「愛しあってるかい?」と続けたという。ジョン・レノンの「Love&Peace」と同じく、平和へのメッセージが込められていたのかもしれない。
「清志郎さんは、ステージ上では面白いコール&レスポンスをよくしていました。例えば、ステージ上から『イエ~イ!』と叫ぶと、観客も『イエ~イ!』と返す。それを、ふざけて『イエ~イって、イエ~(言え)』というのもそのひとつ。エスカレートして、『イエ~って、イエ~って、イエ~!』と、さらにくどいことになるんです(笑い)。ついには、『今日はどこから来たんだ?』とファンに問いかけ、『イエ~!!(家)』と言わせて両者とも楽しんでいました」
清志郎は海外の影響を受けやすかったという。
「初のソロアルバムレコーディングでロンドンに渡ったときから、大の紅茶好きになりましたね。あと、『イギリス人のエンジニアたちは、ゲップは厳禁でもオナラはブーブーして、すました顔してるんだよ』って、小さいようで大きな文化の違いを笑って話してくれました。ライブの後の打ち上げの席では、最初はビール。ですが、ビールには2種類あって、スタッフがいつも『ボス、今日はツメビですか、ヌルビですか?』と尋ねていたものです。ツメビは冷たいビール、ヌルビは常温のビールのこと。『ロンドンではさ、ビールなんて冷やしちゃいない。それがおいしいんだよ』と得意げに言って、ぬるいビールを飲んでいましたっけ」