おいでやす小田 極貧アパート時代に夜な夜なヌートリアが
■嫁を起こさんように「アカン」と叱った
芸人仲間から「網戸を買えばいいのに」と言われ、ホームセンターに見にいったものの、1枚が7000円! 普通のサラリーマンなら大した額やないでしょうけど、売れてへん芸人には、やたらハードルが高い。見るだけで帰ってきました。
そんなある晩。当時交際中だった今の嫁が、初めて部屋に泊まりに来たんです。もちろん、ヌートリアが毎晩、顔を出すなんて言えるはずがない。嫁が先に寝て、「やれやれ、アイツ、来んでよかった」と、ホッとした瞬間ですわ。甘かった。やっぱり来たんです。いつものように、ヒョイと顔出して。
でも、嫁に見せるわけにはいきません。泊まりに来てくれへんと困るやないですか。
それで嫁を起こさんように声を潜めて、「今日はアカン!」って叱ったんです。そしたら、気配を察したんやろか。寂しそうな後ろ姿で、スーッと帰っていきました。その晩からです。ヌートリアは一切来なくなりました。
「そのヌートリアはメスで小田に惚れてたんちゃうか? 別の女が泊まりにきたのを知って振られたと悟ったんや」
こんなツッコミする仲間もいました。
さすがにヌートリアに恋愛感情は持ちませんが、ホンマに不思議でね。あれは真夏の夜の夢やったんか……と、今でもふと思い出すことがあるんですわ。