中尾彬&池波志乃さん夫妻 馴れ初めときっかけになった酒
池波 酒は食事をおいしくするために飲む。酔っぱらうためじゃなくて。
中尾 そんな酒の飲み方も志乃さんとは最初からよく合いましたね。私が家業なら、彼女は血筋で酒が好きだった。
池波 噺家の血筋(祖父が5代目古今亭志ん生、父は10代目金原亭馬生)ですから。私たち夫婦が付き合うきっかけもお酒でした。
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中尾 42年前、時代劇で共演した時にロケバスの中で「実は越乃寒梅が手に入って飲んだんだ」って周りに自慢したんですよ。当時は日本酒ブーム。越乃寒梅は幻の日本酒って言われていたから「スッキリしててうまいんだ」って。そしたら志乃さんが「私、毎晩飲んでる」って言うから、驚いた。
池波 台本の裏に越乃寒梅が飲めるお店の地図を描いてあげて、もしわからなかったらって、ウチの電話番号も書いて。
中尾 後日、1人で行ったらたどりつけない。地図が間違ってたんです。それで、志乃さんに電話して翌週に一緒に行くことになった。そしたら彼女、「こういう感じで来るんじゃないかな」って想像してた装いとピッタリ一致していたんですよ。