若き日は俳優志望 いっこく堂さん語る“腹話術師への転機”
芸能生活36年。複数の人形を同時に操り、時間差の腹話術で人気のいっこく堂さん(55)。若き日は俳優を目指していた……。
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「芝居やってるより一人芸の方が生き生きしてるね。そんな芸を持ってるなら、もっと伸ばした方がいいんじゃないか」
人生には、道を大きく左右する転機がいくつかあると思います。僕の場合、22歳だった1986年4月に劇団民藝に入団できたこと、4年前の8月に亡くなられた米倉斉加年さんに、こう言われたことが腹話術へ向かう第一歩になりました。
沖縄の高校在学中に俳優を志し、「役者になるからには、人前に出る度胸がなきゃ」と思って、モノマネ(声帯模写)を始めました。そして、高校卒業後、上京して横浜放送映画専門学院(現・日本映画大学)に入学。
在学中、バラエティー「笑ってる場合ですよ!」(フジテレビ系)のグランドチャンピオンになったのをきっかけに、わずか半年で中退して、モノマネタレントを始めたんです。
でも、世の中、そんなに甘くない。ホテルや旅館、キャバレーの歌謡ショーの司会がパラパラ入るくらいで、いまひとつパッとしません。