「笑点」歴代司会者で一番やりづらかったのは前田武彦さん
先代円楽と桂歌丸はどうだったのか。
「円楽さんは当初、僕が突然歌い出したり物真似をするおかしさがわからなかったみたいです。歌丸さんは僕が笑いを取れるいいタイミングで『はい、木久ちゃん』って指名してくれました。答えの引き出し方もうまかったですね。昇太さんは、あっけらかんとしてていいですね。司会の重圧をまるで感じていないように見えるところが凄い。それに、僕の答えによく笑ってくれるんです。だからとってもやりやすい」
78年には、古今東西の落語家が歌った歌の中で最もくだらない歌詞といわれている「いやんばか~ん」をレコーディングしてヒットさせた。
当時は大喜利の中でもよく歌っていた。前述の「突然歌い出した」というのはこの歌である。「いやんばか~ん、うふん。そこはおへそなの」という歌詞だ。
この歌によって、木久扇(当時は木久蔵)のおバカキャラは定着した。
(聞き手・吉川潮)
▽はやしや・きくおう 1937年、東京生まれ。60年、3代目桂三木助門下入門。61年、三木助没後、8代目林家正蔵門下へ移り、林家木久蔵となる。65年、二つ目昇進。73年、真打ち昇進。92年、落語協会理事に就任。2007年、親子ダブル襲名により林家木久扇を襲名。10年、理事職を退き相談役に就任。
▽はやしや・きくぞう 1975年、東京生まれ。95年、玉川大学文学部卒業後、父である林家木久蔵に入門。前座名は「きくお」。99年、二つ目昇進。07年、真打ちに昇進し、父の名、2代目「林家木久蔵」を襲名。