後年、母は24歳で息子が「暴れん坊将軍」の主役に選ばれたことを喜んでくれたが、その2年前の76年にドラマ「人間の條件」(五味川純平原作・フジテレビ)の主演に決まった時は、それ以上にうれしがったという。
ところが、放送が終わると、松平は思いがけない叱責を母から受けてしまった。
「ドラマは満州で軍隊生活を送る、いつも殴られてばかりの若い兵隊の役でした。暴力が嫌いだった母は心配し、『あんなのはダメだ』とドラマなのに本気で怒っていたのです」
亡くなってから40年が経つが、今も墓参りは欠かさない。
(つづく)