村西監督から野田に課せられた前代未聞のミッションとは
なんとしてでも成功させなければ。
ライバル心を燃やすキャンペーンガールたちをどうやって仕切ればいいんだ?
野田は作戦を練った。
人心を成功に導かせるには、パワーバランスを考える必要がある。
野田はキャンペーンガールの仕切りは各企業が主導権を持っていると判断すると、企業の広告宣伝部に突撃して、各個撃破作戦に及んだ。
「まずは企業の宣伝部に行って頭を下げて、企画趣旨を話したんです。そうしたらけっこう協力的だった。キャンペーンガールが露出することが企業の宣伝につながるからね。その後で、僕はキャンペーンガールが所属するプロダクションに行って出演交渉したんです。クライアント企業がすでにOKを出しているので、プロダクションも協力的でした」
まだ実績のないパワースポーツだったが、野田は「バイクや四輪のレースを主に撮っているビデオ会社なんです」と説明した。
たしかに社名通り、二輪、四輪レースをビデオリリースしてきたメーカーだったので嘘ではない。かえって車関係のレースというイメージがワイルドさ、新鮮さを印象づけ、企業、プロダクションを説得するのに好都合だった。