「アマデウス」神は下劣な若造を天才に選んだ
だから召し使いをスパイとして送り込み、禁制のオペラを準備していることを密告。だが、それすらも若き天才は実績に変えてしまう。焦ったサリエリはレクイエムの依頼で金欠のモーツァルトを精神的に追い詰める。武器や毒薬を使わず、大金を払うことでライバルを葬るところがミソだ。
以前、音大の教員からこんな話を聞いた。
「モーツァルトをサリエリが殺した話は都市伝説。シューベルトがベートーベンに筆談で『こんな話がある』と伝えただけ。モーツァルトはオーストリア人、サリエリはイタリア人。音楽界で両者が覇権争いをしていたため、オーストリア側が意図的に流した噂ともいわれている」
ちなみにM・フォアマン監督によれば、モーツァルトの死は売春婦から感染した性病の治療のために飲んでいた水銀剤が原因。彼の性病はある女性とその夫などを介してベートーベンにうつったという。因縁めいた話だ。
(森田健司/日刊ゲンダイ)