紙切りは世界中の老若男女どんな世代にも喜ばれる演芸です
確かに、正楽が体を動かしながら紙を切っている姿はカッコいいし、切った物を客席に見せる時の態度は品がいい。
「面白くて客席を沸かせる落語家が続くと、お客は笑い疲れしてる。その後に出た時は、よけいなことを言わずに淡々と紙を切ることに徹します。反対にあまり面白くない落語が続いた時は、ちょっとした冗談、くすぐりを言いながら切って客を乗せ、沈んだ空気を明るくするようにしてます」
そう言えば、正楽は切りながら、「あたしが一番得意なのは○○(客に注文されて切っている物)なんです」とか、「今○○が切りたいなあと思ってたとこでして」と言って笑わせる。それは沈んだ客席の空気を変えるためだったのだ。
「紙切りは世界中の老若男女、どんな世代にも喜ばれる演芸なんです」
謙虚な正楽が珍しく胸を張った。 (おわり)
(聞き手・吉川潮)
【読者プレゼント】毎日1人に本紙に掲載されている“紙切り”をプレゼントします。希望者は欲しい作品を切り抜いてハガキに貼り、郵便番号、住所、氏名、年齢、職業、好きな芸能人、嫌いな芸能人とその理由を明記のうえ、〒104―8007 日刊ゲンダイ芸能編集部「林家正楽『紙切り』プレゼント」係まで。賞品の発送をもって当選者の発表に代えさせていただきます。
▽はやしや・しょうらく 1948年、東京都目黒区出身。高校卒業後、会社勤めを経て66年、2代目林家正楽に入門。芸名「一楽」。88年、「林家小正楽」を襲名。2000年、3代目「林家正楽」を襲名。7月は鈴本演芸場(7月上席「夜席」)ほか出演。詳細は落語協会HPを。