NHKネット常時同時配信で 苦境のローカル局が再編へ秒読み
“前門”のリアルタイム視聴の低下に、“後門”のNHKネット常時同時配信。ローカル局が苦境に直面している。
NHKが今年度中の開始を予定しているテレビ番組のインターネット常時同時配信に関する「ネット活用業務実施基準」の素案が、10日に公表された。これに戦々恐々なのが民放各局、とりわけNHKと張り合うだけのお金がないローカル局で、NHKのネット常時同時配信を機に“再編”が進むとみられている。
テレビ局の収入には、スポンサー名が音声、あるいはテロップで表示される「タイム広告」収入と、番組と番組の間や、番組中の特定時間内に原則15秒単位で放送される「スポット広告」収入の2種類がある。
ローカル局の場合、これに加え「電波料」「ネットワーク分配金」と呼ばれる“第3の収入”がある。キー局が制作した番組をそのまま放送する対価として支払われるものだ。
この「電波料」「ネットワーク分配金」はローカル局の利益の源泉であり、内部留保蓄積の原資でもある。
2008年度と17年度の利益剰余金(累積内部留保)を比較したところ、複数の局でマイナスになっているエリアがあった。山形県の山形放送(日本テレビ系)とテレビユー山形(TBS系)、長崎県の長崎放送(TBS系)とテレビ長崎(フジテレビ系)だ。