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太刀川正樹ジャーナリスト

1946年、東京生まれ。国際ジャーナリスト。早稲田大学教育学部英文科在学中、韓国国立ソウル大学語学研究所へ留学、韓国語を学ぶ。講談社の日本語版「ペントハウス」ニューヨーク特派員などを経験。著書・訳書に「政権交代」「平壌十五号官邸の抜け穴」「オリンピック30年」など。

巨額の借金と体調不良に苛まれたあげく覚醒剤に手を出し…

公開日: 更新日:

 和解が成立した年(06年)の8月にはNHKで堀内孝雄さんと「都会の天使たち」をデュエット、久しぶりにテレビ出演を果たしましたが、10月に体調不良による意識不明で倒れて、収録予定だったNHKの生出演がキャンセルとなりました。

 そんな時、私に粉末の覚醒剤(ヒロポン)をくれた人は芸能界の関係者で、「元気が出るよ」と言われてパイプで吸ってしまったのです。うかつにもクスリに手を出した自分が悪いのはわかっていますが、今から考えると不思議なこともありました。私にクスリをくれた人物の携帯電話で刑事さんが私に話しかけてきたのです。何か一緒になって私を罠にかけようとしているのではないかと一瞬疑いました。

 取り調べに当たった女性検事さんが涙を流しながら、「実は私の母親もあなたの大ファンでした。本当に残念です。でも法律は法律ですので、あなたを罰せねばなりません」と諭してくれた時には私も大泣きしました。

 釈放後、韓国から駆けつけた母親は私が部屋で一人きりでこもっている姿をみて、「おまえにはアリ一匹も寄ってこない」と呟くのを聞いて、胸にグサッと刺さりました。 (つづく)

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