「同期のサクラ」が描く官僚への偏見は逆切れクレーマー
「社長にもお話ししましたけど、いずれ花村建設さんには活躍していただく場を必ず設けますから」
国のリーダーとして、復興支援を優先して取り組むのは官僚の発想としては当然であり、しかも突如凍結することになった民間プロジェクトにも配慮を見せたのだ。
第5話のラストで、自分を貫いた葵とサクラは異動となった。「出る杭は打たれる」という絵に描いたような描写だ。そんな組織の懲罰的人事だけには、妙なリアリティーがある。
このドラマは「どんな逆境にも自分を貫く」という主人公を描くことで、プラスの印象を与える作品だが、そんなことをすれば左遷されるのが現実である。SNS上でも身勝手な主張や正義を振りかざせば、必ず炎上する。ひょっとすると、その一連の流れをSNSの匿名性を排除し、現実社会に置き換えたのが、第5話の制作意図だったのかもしれない。
つまり一見するともっともな熱弁にごまかされず、冷静に見極めることが大切だと、逆説的に描いていると見るのは、深読みし過ぎか。
いずれにせよ、東日本大震災や、昨今の豪雨・台風被害の被災者の方々は、葵の熱弁はどのように伝わったであろう。
(ライター・田丸大志)