「パラサイト」で注目 筆者が経験した半地下生活のリアル
韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が史上初の外国映画として、アカデミー賞作品賞、監督賞を含む4冠に輝いた。パラサイトというタイトル通り、貧困な家庭が裕福な家庭に寄生するさまが、ブラックユーモアたっぷりに描かれている。
日本人にはなじみのないこの“半地下”住居。「パラサイト」では、貧困層の象徴として描かれているが、韓国では貧困層に限らず、ごく一般的に住居として使用されている。
そもそも、なぜ、韓国には半地下住居がこれほどまでに多いのだろうか。
もともとは、1970年、北朝鮮との対立激化から低層階には防空壕を造ることが義務化されたのだが、70年以降の経済成長で、住宅不足が深刻化し、政府は半地下の住宅使用を認めたという。さらに、90年に建築基準が緩和されたことにより、マンションの地下1階部分も住宅用に使用してもいいと認められたことで、半地下住居が増加したという経緯がある。
かくいう筆者も半地下暮らしを経験したことがある。今から約15年前の学生時代の話で、ハスクという下宿だった。風呂・トイレは共有、大家であるアジュンマ(おばさん)のごはん付きで家賃は約3万円。部屋の広さ3畳ほどで窮屈だったが、コストパフォーマンスが良かった記憶がある。