伝説の悪役レスラー キラー・カーンさんもコロナ禍に嘆き
アルバトロス殺法、モンゴリアンチョップ、アンドレ・ザ・ジャイアント“足首へし折り”事件……。プロレスファンでなくても、一度はリングネームを聞いたことがあるだろう。本日登場のキラー・カーンさんだ。さて、今どうしているのか?
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「昨日が4人、一昨日はゼロ、その前が1人……。今日は久しぶりにお客さんが2桁いったから、ホッとしてるとこさ」
JR山手線・新大久保駅から徒歩2分。キラー・カーンさんと会ったのは、大久保通りから10メートルほど路地を入った「居酒屋カンちゃん」だ。
オーナーのカーンさんを悩ませているのは、もちろん新型コロナウイルス感染症。当初、ほとんど影響はなかったが、2月29日の安倍晋三首相の会見を潮目に、みるみる客足が落ちた。追い打ちをかけたのは4月7日の緊急事態宣言。
「都の要請を厳守しているから、ラストオーダーは19時で20時に閉店。開店時間を1時間早めて16時からにしたんだけど、焼け石に水だな。本当に参ってるよ」
本来は24時閉店なので営業時間はほぼ半減。家賃や光熱費の支払い、板長とパートさんへの給料……。白いマスク越しにも疲労の色が濃い。
引退から33年。猫背気味なせいか、身長はピーク時の195センチから5センチほど低くなり、少し小柄になった。
「水商売を始めたのが1989年だから、この道に入って31年。長引く不況の中でも移転を繰り返しながら頑張ってきたけど、これほどの落ち込みって、もちろん初めて。売り上げ? 4分の1以下だよ。ホント、泣きたくなっちゃうよな」
■尾崎豊が愛した名物カレーで“聖地化”も…
カーンさんといえば、最初に始めた「スナック カンちゃん」の常連客だった、シンガー・ソングライターの尾崎豊を外すわけにはいかない。
「場所は西武新宿線・中井駅のすぐそば。尾崎さんは共通の知人と一緒に来たのね。少し飲んだ後に『何か食べるものはないですか?』って。それでカレーを出したら『おいしい、おいしい』って。亡くなる1週間前も締めはカレー。今では名物料理だよ」
間もなく尾崎の命日、4月25日がやってきた。例年なら“聖地”のひとつとして尾崎ファンが全国から訪ねてくるのだが……。
「今年は自粛やむなしだね。新型コロナが収まったら、また足を運んでくれればいいよ」