公私ともに破天荒だったからこそ、その魅力に磨きがかかり、色気や狂気が作品に投影される。活躍にはリターンがあり、スターになると名声を得て、一等地に豪邸を建て、外車を何台も所有するのが当たり前だった。
超のつく売れっ子俳優だった三浦さんも昭和の時代ならば、もっと手足を伸ばし、思い詰めるほど悩まずに済んだかもしれない。そう黒沢は言いたいのかもしれない。
「俳優が俳優らしく生きられた昭和の芸能界に引き戻したい。芸能界は大衆が憧れる世界でなくてどうする」と晩年、苦言を呈していた梅宮さん。令和時代のスター俳優の死は、俳優が俳優らしく生きられない時代の犠牲者という側面も否めない。