書きゃいいのだ。脚本家や作家になりたけりゃ書けばいい
「へ?」
Y氏がストローをくわえたまま顔を見上げた。「書きゃいいんですよ」
■「人を感動させたい」なんて大きなお世話
だってそうなのである。書きゃいいのだ。脚本家や作家になりたけりゃ書けばいい。なぜならこの仕事はお医者さまや司法関係者や料理人のように国家資格が必要なわけではない。そんな仕事を「どうすればなれるか?」などと聞いてくる若人はアホであり、即刻こんな外道な世界に足を踏み入れぬほうが賢明である。もしそれでもなりたい……と言うのであれば、書いて出版社に応募する、バイトとして出版社に潜り込み信頼を得た後で原稿を読んでもらう、読んでくれぬならおっかないお兄さんに大金払って脅してでも目を通してもらう、やり方は腐るほどある。そんな話をY氏にすると「それは極論」と嘆き食い下がる。なので仕方なく「その若者はなんで物書きになりたい、って言ってるんですか」と問うとほれ来た。予想通りの答え。
「人を感動させたい、って言うんです」