ヒットメーカーのTBS局員が語る ドキュメンタリーの面白さ

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映画「相撲道」坂田栄治監督インタビュー

 30日から公開になる映画「相撲道~サムライを継ぐ者たち~」(ライブ・ビューイング・ジャパン配給)は、世界初となる大相撲のエンターテインメント・ドキュメンタリー作品。メガホンを取ったのは現役TBS局員の坂田栄治監督。プロデューサーとして「マツコの知らない世界」などを手掛けてきた坂田氏にドキュメンタリーの極意を聞く。

 ◇  ◇  ◇

「今年はオリンピックの年だったので日本人として日本のために貢献したいというのと、僕自身が番組を作ってきた技術で何か出来ないかを考えていて、それらが結びついてお相撲の映画を撮ることになりました。日本だけではなく海外の方にも『力士ってすごい』と感じてもらえたら誇らしいじゃないですか」

 ――番組ではなく映画で撮ろうと思ったきっかけは?

「もともと格闘技好きで、力士は世界最強と思っていたのですが、お相撲に関しては素人でした。朝稽古を見学すると知らないことが多くてびっくり。同じ日本人なのにこんなに知らないことがあるのかと衝撃を受けました。それはこれまで力士のドキュメンタリーは制作されていても、お相撲の文化自体を取り上げた作品はあまりなかったから。TBS社員なので初めは番組でやろうかと考えましたが、改めて両国国技館で観戦すると、今までNHKで見ていたお相撲とは全く違う景色だった。行司のかけ声や地鳴りのように響き渡るお客さんの声援をより忠実かつリアルに表現するためには映画しかないと思ったんです」

マイケル・ムーア監督の作品が面白い理由

 ――初心者でも相撲の世界に入りやすい“入門書”のようでした。

「知らない人が見ることは常に意識しています。普通ロケってたくさん下調べするんですが、視聴者と同じ視点で新鮮な刺激を受けたかったので、今回はあえて事前情報を入れずに挑みました」

 ――エンターテインメントの要素も強いです。

「日本のドキュメンタリーのほとんどが見ていて面白くない(笑)。マイケル・ムーア監督の作品が面白いのはきちんと構成が立てられているから。日本は密着して面白いところを見つける手法だけど、僕の場合は先に取材して、面白い部分を厳選してから撮るので作り方が根本的に違います」

バラエティーはドキュメンタリーと同じ

 坂田氏が作りあげた「マツコの知らない世界」は素人に話を聞く、マツコ・デラックスの手腕が見どころのひとつだ。最終的にどのような“撮れ高”になるか、先の読みづらいバラエティーの現場にはドキュメンタリーに近い要素があるという。

「マツコさんが素人さんとどう絡むのか、ゲストがどんなリアクションをするかは分かりません。バラエティーは台本通りに進むわけではないので基本的にドキュメンタリーと同じです。ただ映像って見てて疲れるから、ぐっと見なくても飽きずに見られるものを作っていきたい。それが醍醐味であり、面白さでもあるんです」

 相撲ファンだけではなくドキュメンタリー好きこそ必見の映画だ。

(聞き手=白井杏奈/日刊ゲンダイ)

▽さかた・えいじ 1975年生まれ、埼玉県出身。東京農業大学林業学科卒業後、98年に東京放送(現・TBSテレビ)に入社。大ヒット番組「マツコの知らない世界」(11年~)、「細木数子のズバリ言うわよ!」(04~08年)を作りあげたプロデューサー。その他、「ウンナンの気分は上々。」(96~03年)、「上田晋也のニッポンの過去問」(15~17年)、「有田ジェネレーション」(16年~)などを担当。

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