「その女、ジルバ」女性の現実がさりげなく、そして辛辣に
バーの名は「OLD JACK&ROSE」。在籍するのは自称50~80代のホステスだ。「その女、ジルバ」(東海テレビ制作・フジテレビ系)の舞台である。
そんな超熟女バーに笛吹新(池脇千鶴)が迷い込む。
昼間は流通倉庫で働く40歳独身。恋人はいないし、貯金もないし、将来への希望もなかった。「ホステス募集。40歳以上」の貼り紙を見て、つい扉を押してしまったのだ。
不況の中、新の倉庫でもリストラの嵐が吹き荒れる。チームリーダーのスミレ(江口のりこ)がパワハラ疑惑でターゲットになったのだ。新は元カレで上司の前園(山崎樹範)に「リストラする側もつらいなんて言い訳はズルい!」と抗議する。本当につらいのは切り捨てられる側だと。
結局、スミレは残ることになったが、仲間のみか(真飛聖)は故郷に帰ることを決めた。このドラマでは、弱い立場にいる女性たちの「現実」がさりげなく、そして辛辣に描かれていく。
夜のバーは客だけでなく、ホステスたちにとっても大事なオアシスだ。池脇が見せる、程よい「ゆるみ感」と「くたびれ感」が秀逸な新もまた、ここでは不思議なオーラを放つ。くじらママ(草笛光子)、ナマコ(久本雅美)、エリー(中田喜子)、ひなぎく(草村礼子)、そしてマスター(品川徹)という布陣は最強で、一度行ったら病みつきになること必至だ。