著者のコラム一覧
碓井広義メディア文化評論家

1955年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。千葉商科大学大学院政策研究科博士課程修了。博士(政策研究)。81年テレビマンユニオンに参加。以後20年、ドキュメンタリーやドラマの制作を行う。代表作に「人間ドキュメント 夏目雅子物語」など。慶應義塾大学助教授などを経て2020年3月まで上智大学文学部新聞学科教授。専門はメディア文化論。著書に「倉本聰の言葉―ドラマの中の名言」、倉本聰との共著「脚本力」ほか。

「その女、ジルバ」女性の現実がさりげなく、そして辛辣に

公開日: 更新日:

 バーの名は「OLD JACK&ROSE」。在籍するのは自称50~80代のホステスだ。「その女、ジルバ」(東海テレビ制作・フジテレビ系)の舞台である。

 そんな超熟女バーに笛吹新(池脇千鶴)が迷い込む。

 昼間は流通倉庫で働く40歳独身。恋人はいないし、貯金もないし、将来への希望もなかった。「ホステス募集。40歳以上」の貼り紙を見て、つい扉を押してしまったのだ。

 不況の中、新の倉庫でもリストラの嵐が吹き荒れる。チームリーダーのスミレ(江口のりこ)がパワハラ疑惑でターゲットになったのだ。新は元カレで上司の前園(山崎樹範)に「リストラする側もつらいなんて言い訳はズルい!」と抗議する。本当につらいのは切り捨てられる側だと。

 結局、スミレは残ることになったが、仲間のみか(真飛聖)は故郷に帰ることを決めた。このドラマでは、弱い立場にいる女性たちの「現実」がさりげなく、そして辛辣に描かれていく。

 夜のバーは客だけでなく、ホステスたちにとっても大事なオアシスだ。池脇が見せる、程よい「ゆるみ感」と「くたびれ感」が秀逸な新もまた、ここでは不思議なオーラを放つ。くじらママ(草笛光子)、ナマコ(久本雅美)、エリー(中田喜子)、ひなぎく(草村礼子)、そしてマスター(品川徹)という布陣は最強で、一度行ったら病みつきになること必至だ。

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