NHK「おちょやん」が不人気 話題にもならないのはなぜか
「おちょやん」の不人気は、制作の大阪放送局の思い入れが空回りしてしまったことが大きい。ドラマのモデルの浪花千栄子は「大阪のお母さん」と呼ばれ、話の舞台はいちばんの繁華街の道頓堀。極貧の生い立ちは「おしん」と重なり、浪花が出演した大河ドラマ「太閤記」や「細うで繁盛記」(よみうりテレビ・日本テレビ系)は40%近い視聴率。オロナイン軟膏のホーロー看板は、昭和のおなじみの風景だった。これで受けないはずがないとNHK大阪は張り切り、巨大オープンセットも作ったが、致命的だったのは「浪花千栄子をリアルで知っている世代はほとんどいなかった」(放送作家)ことだ。
浪花が活躍したのは1965年ごろまでだから、団塊の世代はまだ10代で、上方コテコテの喜劇や人情ドラマは興味なかったし、その下の世代はそもそも浪花を“テレビ視聴”したことがない。時代が重なるのはせいぜい80歳から上の世代だが、見ていたのは映画だ。ホイコーロー(回鍋肉)をほお張るCMで注目された杉咲花が浪花役では、いくら芝居が達者でも、スクリーンのイメージと違い過ぎた。かくして、誰も感情移入できないドラマになってしまったのだ。