沖縄のおばぁが絶対統治者を訴えた破天荒なサンマ裁判とは? 映画「サンマデモクラシー」監督に聞く
「来年は復帰50年。作品は5月15日からスタートしたくて、ちょっと無理して沖縄でマスコミ向けの試写会を開きました。サンマ裁判を知らないという記者が多かったです。私も30年、報道の現場にいましたが、知らなくて衝撃的でしたから」
予想以上に取材は難航したという。
「魚屋のウシがサンマで(琉球政府を)訴え、ラッパの親友がカメだったと頭に浮かんだとき、作品は出来上がったと思いました。しかしウシさんの資料もなく、取材は苦労しました。下里も今回初めて知った人物でしたから」
この下里ラッパが破天荒で抜群に面白い。ややもすれば深刻な闘争を劇的に盛り上げてくれる。作品では、翁長前知事が2015年に面談した当時の菅官房長官に向かって「キャラウェイと重なる」と言い放った場面も使われており、非常に印象的だ。
「復帰前の沖縄がうらやましく思えました。闘う相手が目の前に分かりやすく存在した。今の沖縄の“敵”は、いろいろグラデーションがありますから」
アメリカに対し保守も革新も手を組んだ時代。そんな歴史を改めて描けるのもテレビ局の映像資料があってこそ。