<30>早貴被告は会話の輪に加わらずひたすらタブレットでゲーム
「札幌で~す」
「なんだ、一緒じゃないか」
「そうだったんですか?」
「うん。ボクは南高校だから」
「へえ、頭がいいんですね」
札幌南高校が進学校であることは、卒業生の友人がいるから知っているだけだ。私の本当の出身校ではない。
「ごめん、ウソをつきました。ボクは社長と一緒で中卒ですから。でも最終学歴は○○自動車教習所だけど」
「ワシもや!」
手を叩きながらドン・ファンが喜んだ。
「狸小路で遊んでいたんですよ。30年ぐらい前に叔父があそこでビジネスホテルを経営していたから」
「あそこにビジネスホテルがあったんですか?」
これで早貴被告が本当に札幌の出身であることが分かった。南高校の件もあるし、観光客があまり訪れない狸小路のことを知っているというので、まず間違いがないだろうと思った。ススキノに近いため、最近は狸小路にもビジネスホテルが増えたが、この手のホテルはそこを目指さなければ気づかないものだ。