「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」は上々のエンタメ作品 この快作を見逃すことなきように!
俳優が映画を監督したり、ドラマの演出をしたりする例は少なくない。ただし、「余技」などと言われないレベルのものは決して多くない。
その意味で、オダギリジョー脚本・演出・編集、さらに出演もしている「オリバーな犬、(Gosh!!)このヤロウ」(NHK)は、上々のエンタメ作品に仕上がっている。
このドラマの「主人公」は警察犬係の警察官、青葉一平(池松壮亮)だ。しかし、「主役」は警察犬のオリバーだろう。一平にはこの犬が人間のおっさんに見えるし、会話もできる。その「おっさん犬」を演じているのがオダギリジョーなのだ。
抜群の嗅覚で地中の拳銃を発見し、裏社会とつながるキャバクラを摘発する活躍を見せるオリバー。その一方で、飛び切りの毒舌家にして酒好き、女好きでもある。特に目がない「エロ」はオリバーの原動力だ。若くてキレイな女性の顔や胸元に迫る時のデレデレ顔は、見ていて笑ってしまう。
オダギリジョーの演出には、特異な設定が軽いコントに流れることを拒否する美学と、集めたクセのあるキャストたちに演技の暴走を許さないコントロール力がある。
またオリバーの造形はもちろん、画面の隅々にまで気を配った美術へのこだわりも含め、作品の世界観を堂々と押し出していることにも拍手だ。
全3回はあっという間。くれぐれも、この快作を見逃すことなきように!