飯野矢住代誕生秘話<27>時代を駆け抜けた飯野矢住代「21年の短き生涯」
「姫」のマダムである山口洋子は、カーラジオから流れるニュースで矢住代の死を知ったと書く。
《「ミスユニバース日本代表だった飯野矢住代さんが」繰り返すアナウンサーの声に車を運転しながら呆然となった。マンションの一室で夕刻、矢住代が煙に巻かれた焼死体で発見されたといっている。(中略)反射的に母親のことを思い浮かべた。母親はどうしているのか。(中略)杖とも柱とも頼む稼ぎ手のひとり娘に逝かれてこの先、どうやって生きていくのか》(「ザ・ラスト・ワルツ『姫』という酒場」山口洋子著/文春文庫)