音楽評論家の木崎義二の妻から娘の死を知らされた矢住代の母の辰子は、強壮剤を打って幡ケ谷に向かった。娘と無言の対面をはたすと大声で泣き崩れている。そのまま矢住代の遺体は翌日、幡ケ谷の火葬場でだびに付された。山口洋子が危惧した通り、母は娘の後を追うようにこの半年後亡くなっている。矢住代には「姫」に残したバンスが残っていた。その額500万円。現在の価値で1500万円だという。
ミス・ユニバース日本代表にして「姫」のナンバーワンホステス、ジャニーズ事務所女性第1号タレント、作詞家という21年の短い生涯の割にいくつもの肩書を持つ飯野矢住代は、今、豊島区の寺に、早逝した愛児と一緒に眠っている。