五木ひろしの光と影<8>23歳の「三谷謙」は「全日本歌謡選手権」出場を決意する
「人は人。自分は自分」と言い聞かせるには、三谷謙はまだ若かった。23歳。再チャレンジするには今しかない。悩み抜いた末に、三谷は「全日本歌謡選手権」への出場を決意する。それだけではない。「もし10週勝ち抜きに失敗したら、足を洗って故郷に帰ろう」、そう決めたのだ。これは戦いなのだ。彼は当時の心境をこう振り返っている。
《落ちたら田舎に帰るつもりでした。「もう戻ってこないから」と、弾き語りの仕事も全部後輩に譲ったんです。兄に「もし落ちたら無理やり田舎に連れて帰ってくれ」と頼みました》(「週刊現代」2013年6月14日号)
テレビの視聴者参加番組をきっかけに、三谷謙は再デビューの火蓋を切ったのだ。=つづく