<148>「きょう捜査員が来ましたよ」和歌山県議・尾崎太郎氏からの連絡
「ドン・ファン事件の動きがないなあ。犯人は逮捕されるの?」
過払い金事案の調整や野崎幸助さんの遺言のウソへの対抗策が一通り固まった2019年の夏すぎになると、このように知人たちから聞かれることが少なくなかった。
私としては事件そのものよりも、それ以外の動きが多すぎて、いちいち説明するのも面倒だったが、同年の秋すぎになって、ドン・ファン殺害犯逮捕のXデーに備えるために今まで書いていなかった事実を書き始めた。
「いつでも出せるように早く書かないとダメですよ」
いつもと変わらない丁寧な口調のドン・ファンが夢に出てくるようになったからでもある。
私はパソコンに向かって当時のメモを基に原稿を打ち始めた。彼が亡くなる18年5月24日から、いや正確に記すなら18年4月からの事柄がノート1冊に書かれてあり、愛犬イブの死のあたりから詳細な記述が残っている。これをまとめていくのは簡単なことではなく、大晦日も正月も関係なく原稿と格闘していた。やっと一息つけるまで書き終わったのは年が明けた20年1月の最終週のことで、いつXデーがきてもすぐに対応できる態勢が出来上がり、一安心をした。