<155>捜査員が注目する「掃除機」は社長が亡くなる前、早貴被告が購入していた
しかし、7時半近くに木下さんが帰ってくると、リビングのテーブルの上にビール瓶はなかったと事件直後、私に証言をしている。これが本当なら、瓶は片づけられていたことになる。
「アレ? おかしいと思ったわよ。いつもはテレビをつけない早貴ちゃんが、一人でリビングでテレビを見ていたのにも違和感があったし、なかなか上に行かなかったからね」
人間には良心があるという。私はそのことを全否定するわけではないが、早貴被告は根っからのウソつきで情が欠如したまれなる性格であるから、もし捕まったとしても正直に白状することはないだろう。
仮に殺害を認めたとしても、パワハラやセクハラを受けて発作的に殺してしまった、という都合のよい言い訳を考えているに違いない。
22歳の若い女性が金のためにそこまで悪になるのか、と思う方々もいるかもしれないが、多くの金持ちをだまして金を貢がせてきたのが彼女であって、あなたが想像する何十倍も悪に染まっていると思ったほうがいい。 (つづく)