桂南光師匠は招待でコンサートに行くことはなく、必ず自分でチケットを買った
こういう姿勢が、番組でも良いものは良い、悪いものは悪いと“忖度することなく言い切れる”源だと思います。
プライベートでも良くしていただきましたが、仕事になれば「これは違うんちゃいまっか?」とハッキリ言い、納得されたことには一切文句を言わずにやってくださる、私にとってはまさに“理想の上司”。ご本人は「理想の上司は無理ですわ。好き嫌いがあって、わがままですから」と謙遜してらっしゃいましたが、その時の気分で態度がコロコロ変わる方を数多く見てきた者からすると、あそこまで筋の通った方はそうはいらっしゃいません。
そんな南光師匠が「あの人にはかないませんわ」と言われたのが、引退された上岡龍太郎さん。街中でばったりお会いした際に「南光ちゃん、ごめん。NHKの落語会見に行かれへんかってん。(入場)整理券が当たらんかったんや」と言われたので、南光師匠が「そんなん言うてくれはったらよろしかったのに」と言うと、「イチ素人がそんなことしたらいかん、僕が1人入れてもらうことで同じようにハガキ送ってる方が入られへんいうのは失礼。素人がそんなことしたいかん」といつもハガキで申し込んで当たった時だけ行かれているというのです。「やっぱり上岡さんはすごいわ。徹底したはるわ!」と感心されていたことがありましたが、その時、言葉には出しませんでしたが私は「南光師匠も徹底されていてすごいです」と心の中でつぶやいていました。
上方落語界の重鎮のおひとりになられましたが、これからもお元気で、落語はもちろん、たくさんの趣味を堪能していただきたいと思います。