南野陽子が障害者劇団の舞台に主演 見た人に「優しい気持ち」持って帰ってほしい
障害福祉をテーマにした演劇作品を製作してきた横浜桜座が下北沢・駅前劇場で新作「なくなるカタチとなくならないキモチ」を上演する。東日本大震災前後の福島を舞台に、障害のある家族とそのコミュニティーを描いたもので、主演の南野陽子さんに話を聞いた。
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──キャパ150余りの小劇場にナンノが出るということで話題になっていますが。
「去年、友人の小飯塚貴世江ちゃんが出ていた『Don't say you can't~できないなんて言わないで~』という横浜桜座さんの舞台を見せていただきました。それがとってもすてきだったので、私もこんな作品に出たいなと思っていたところにオファーがあったんです。作者も演出も同じ方だし、『ぜひやらせてください』と二つ返事で引き受けました。昔からドラマ、映画、舞台などそれぞれ同じ比重で年に1本やると決めていまして、舞台の場合は帝劇や明治座などの大劇場でやる商業演劇の場合もあるし、たまたま今回が下北沢の小劇場だっただけ。生の舞台でお客さまと接したいと思っているので劇場の大きさは関係ないんです」
──障害福祉に興味があった?
「福祉とか障害者問題とか大上段に構えるんじゃなくて、体の不自由な方と日常で接するのは私にとってはごく当たり前のことで、中学時代は耳の不自由なクラスメートがいて、話をするときはその人に分かるようにはっきり口元が分かるように動かしたり、募金活動や老人施設の訪問もしていました。でも、『何かしてあげる』という意識はなくて、お年寄りを見たら『足元に気をつけてください』と話しかけたり、車椅子の手助けをするのと同じ感覚ですね」
──21歳の時に「24時間テレビ 愛は地球を救う」に出演しましたが。
「加山雄三さんの『サライ』の前に使われていたメッセージソングが私の『思いのままに』でした。私も番組の一環でタイ、カンボジア、ベトナムを訪問しました。でも、内戦が続いたカンボジアの孤児院で子どもたちにおみやげを渡すことが通りいっぺんの自己満足に思えて、『ちょっと違うんじゃない?』とスタッフに意見したこともあります。当時、”生意気”と叩かれたのは自分で納得できないことはなるべくやりたくないという私の一本気な性格からだったのかもしれません(笑い)。でも、子どもたちとの交流は楽しくて、3日間だけでしたが大事なことを学びました」
──カンボジアは第二の故郷?
「23年後にテレビの番組で訪れ、当時の孤児たちと再会しました。皆さん立派に成長して国連の職員や学校の先生になった方もいました。私のことも憶えていてくれて『あの時は嬉しかった』と感謝されました。先日、東京と京都でフィルハーモニーオーケストラとコラボレーション・コンサートを行ったのですが、その時に歌った『明日への虹』はカンボジアのために何かできないかと思って作った歌なんです。来年が日本とカンボジアの友好70周年とのことで、大使館に初訪問の時の映像と歌を編集した動画を差し上げたら、とても喜んでくださって、今、カンボジアの日本大使館とフン・セン首相のフェイスブックだけに動画が公開されているんです」