天童よしみさん「NHK紅白出場」に心から安堵、あのタイムレスな歌声の偉大さよ
では理想の故郷とは? これはきわめて根源的、かつ現代的な課題である。「帰郷」においては〈何ひとつ責めずに帰還者を受け容れる場所〉と規定した。故郷はあなたを責めず、ただ見守ると。もし責められていると息苦しく感じたなら、理由はきっと自分の中にある。故郷の寛容さは、故郷の優しさや甘さに苛立った時期を経て初めて知るのだから。かつて離れたときと同じ理由で、ひとは故郷に帰ってゆく──。
5分弱の曲にはいささか大きなテーマだったか。ぼくにはそんな懸念があった。ところが、天才のあたたかい歌声は、それが杞憂であることをあざやかに証明したのだった。