少年隊・錦織一清が自叙伝「少年タイムカプセル」で語ったことと語らなかったこと
12歳でジャニーズ事務所に入り、20歳になった1985年、「仮面舞踏会」でデビューした少年隊のニッキこと錦織一清。ジャニー喜多川、つかこうへい、このふたりの恩師の流れを汲む舞台演出家としてキャリアを積んだ彼は、喜多川氏が他界した翌年の2020年末、43年間在籍したジャニーズを盟友・植草克秀と共に退所。以後は舞台演出に加え、ソロ歌手として作品をリリースするなど、57歳にしてなお精力的な活動を展開している。
そんな錦織さんの自叙伝『少年タイムカプセル』が滅法おもしろい。よき理解者であるミュージシャン西寺郷太を聞き手に、錦織さんが生い立ちから喜多川氏との師弟関係まで語る。
先ごろ出版された自伝的小説『90's ナインティーズ』でも絶大な効果を発揮していた西寺さんの細かくて密な網目の記憶力は、錦織さんから逸話を引き出すにあたっても有効だ。ふたりの対話を問答形式にまとめたのが、本紙連載でも健筆を振るう細田昌志と聞けば、高いリーダビリティにも納得がいく。