少年隊・錦織一清が自叙伝「少年タイムカプセル」で語ったことと語らなかったこと
「貧乏だったよ。風呂もなかった(略)四畳半と三畳のアパートに4人暮らしだからね。その二間しかない。川の字もいいところで家族4人で寝てさ。そこでずっと育ったから」
労働者階級の両親のもとに生まれ、東京の下町エリア江戸川区平井で育った少年の人生が大きく旋回するのは、小6の夏。フォーリーブスや郷ひろみのファンだった6歳年上の姉が、彼らが所属するジャニーズのオーディションに、容姿端麗で運動神経抜群の弟・一清を送り込むのである! 細田さんの筆致はこの辺りで最初の高みに達する。
「姉貴が『実は履歴書送っちゃったから、とりあえず行くだけ行ってよ』って(略)俺と同じくらいの歳の子供が7、8人いたかな。それでいきなり踊らされた(略)ジャニーさんがいきなり俺のところに来て言ったのよ。『YOU、天才だよ!』」
一清少年がびっくりするのも無理はない。
「だって『天才』と言われたのが初めてなら、『YOU』と言われたのも初めてだからね(笑)」
栴檀は双葉より芳し。さすがはジャニー喜多川が最高傑作と認める少年隊のリーダーにふさわしい、鮮烈なエピソードである。だが西寺さんの興味はここで止まず、さらなる秘話を引き出す。