「東京03」祝・芸術選奨新人賞受賞! 遅咲きの名コント師が大躍進を遂げるまで
しかし、2000年代は彼らも苦汁をなめた。まだまだテレビが絶対的な時代、東京03をバラエティーでどう生かすべきか親しい芸人や制作陣が模索していた印象が強い。実際、「ゴッドタン」(テレビ東京系)の企画だけを見ても、その変遷が見て取れる。
■「失恋ドッキリ」受けた過去も
よく覚えているのは「東京03飯塚 マジ失恋ドッキリ!!」という企画だ。飯塚がラジオ番組での共演を機に女優・みひろとメールアドレスを交換。彼女を口説こうとやりとりしたメールがスタジオでさらされ、最終的に振られるというものだ。「マジ歌」シリーズで存在感を示した角田に続き、飯塚を押し出したかったのだろう。
企画そのものは面白かったが、そこで飯塚がハネることはなかった。その後、ドラマ設定の誘惑に負けず暗記に挑戦する企画「芸能界ストイック暗記王」で、コント愛あふれる飯塚のキャラクターが爆発。「コント≒飯塚」というイメージが定着した。
2010年代はSNSが普及したことで逆に舞台への評価が高まり、2020年のコロナ禍以降はライブ配信がすっかり定着した。こうした時代の変化とともに、したたかな構想を持って活動をサポートしてきたコント作家・オークラ氏による尽力も大きいだろう。
東京03は、複合的な要因が重なり日本屈指のコント師へと駆け上がっていったのだ。
(お笑い研究家・鈴木旭)