歌手・俳優の山崎ハコさん 3年前に最愛の夫が他界「彼の魂が宿る4畳間で寝起き、ギターと同居」
事務所が解散、途方に暮れている時に…
途方に暮れていた時に親身になってくれたのが俳優の原田芳雄だった。
原田はハコさんを「社友」とし、付き人が車でライブの送迎をした。女優の渡辺えりも、いつでも泊まりに来てと合鍵を渡してくれた。
「そしてもう一人、『呼んでくれればいつでもギター持って駆けつけるよ。もちろんギャラはいらないから』と言ってくれたのが私のデビューアルバムからギターを弾いてくれた安田さんでした。彼は、『アンドレ・カンドレ』という名前で活動していた井上陽水さんのデビューシングルのスタジオミュージシャンとしてデビューし、大滝詠一、小椋佳、松山千春、アリスなど錚々たるミュージシャンをサポートしてきた売れっ子。うれしかったですね」
2001年に結婚。ハコさんは安田氏と2人でのライブ活動も多くなった。しかし、17年に安田氏が発病。
「がんの進行にまったく気づかないくらい元気だったんですが、亡くなる3日前に、レコーディングスタジオから 録音に現れないと連絡があって驚きました。スタジオを入れてたのを知らなくて……。最後まで気力を振り絞って仕事をしたかったのだと思います」
コロナ禍もあって2年間中止にした恒例のバースデーライブを昨年に続いて開催する。
「演劇の劇中歌や映画音楽の依頼もあり、7月には椿組の花園神社野外劇『丹下左膳'23』の挿入歌を担当します。安田さんが使っていたミキサーがあるので、自宅でもデモテープを作ることができるんです。彼が使っていたギターがたくさんありまして、狭いマンションのリビングはその収納部屋。楽器屋さん並みにギターラックを設えて天井近くまでギターが占領しています。
いつか活用してくれる人に渡したいと思うけど、まだ彼の魂が宿っているようで、私は4畳の部屋で寝起きして、当分はギターと同居です。今回はコロナで中止になった演劇のテーマ曲など、CD化されていない曲もやります。“今”のハコを聴いてください」
(取材・文=山田勝仁)
◆山崎ハコ・バースデーライブ「綱渡り」は5月13日(土)午後5時~、有楽町の劇場「I'M A SHOW(アイマショウ)」で。スペシャルゲストはクミコ。