追悼・谷村新司さん…「アリス」誕生、デビューの原点は1970年の大阪万博だった

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メキシコでの原体験

 谷村さんは昨年、そうラジオで楽しそうに振り返っている。メキシコではこの若者が国営放送に掛け合い、なんとメキシコフェスタに出演。言葉も通じず、歌もうけなかったが、意気消沈しなかった。

「残り時間3分くらい、アミーゴ一発で通しましたね。一点突破。メキシコ人がおまえらのアミーゴ最高だったよと言ってくれて、良かったのかな、それでと。怖いものは何もなくなりました。友達ひとりいたらその国を好きになると体感できた。この原体験が凄く大きかった」と。

 全米横断中にはレッド・ツェッペリン、ジャニス・ジョプリンのステージをライブで見たそうだ。ちなみに「アリス」とは、ロスのレストランのメニューにペン字で書いてあった「Alice」の表記から。かっこいい、とその場でバンド名に決めたのだという。以下、ご本人を知る構成作家のチャッピー加藤氏にエピソードを聞いた。

「この『万博で知り合った若者』というのは、アリスの所属事務所になる『ヤングジャパン』社長の細川健氏です。細川氏の企画した米国ツアーには谷村さん以外のミュージシャンも同行し、谷村さんはアリスのドラマーとなる矢沢透さんと出会います。万博会場での出会い、無謀ともいえる米国ツアーがなければ、アリスは誕生していなかった。面白そうなことはまずやってみようという、谷村さんのポリシーはこういう経験を通じて、培ったものだったのでしょう」

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