映画「哀れなるものたち」主演エマ・ストーンは鬼才ランティモス監督にオスカーをもたらすか

公開日: 更新日:

 映画「哀れなるものたち」が注目だ。アカデミー賞(3月10日挙行)11部門にノミネートされ、クリストファー・ノーラン監督の大作「オッペンハイマー」(日本では3月29日公開予定)の向こうを張って作品賞や監督賞などをうかがう最有力候補になっている。

 主人公ベラを演じるのは、「ラ・ラ・ランド」(2016年)でオスカー(主演女優賞)を獲得したエマ・ストーン。ロンドンにある解剖学教授ゴッド(ウィレム・デフォー)の館で言葉やマナーの手ほどきを受ける「体は大人だけど知性は子供」の女性がベラだ。まるでマイ・フェア・レディかと思わせておきながら、無邪気な好奇心と欲望の赴くままにベラは中年男性(マーク・ラファロ)に誘われリスボンに旅立ち快楽にふけり、クルーズ船で知的会話と読書に触れ、アレクサンドリアで社会の貧困を目の当たりにし、パリの娼館で人生を学ぶ。かくも壮大で数奇な運命をたどる女性の成長譚を通じてエマ・ストーンは、濃厚な音楽とダンス、美しい装束を身にまといながら「神がかった演技」を見せつける。

 監督はギリシャ出身のヨルゴス・ランティモス(50)。性と暴力をためらわずに描く作風で物議を醸すも、高い評価を得てきた天才肌の監督だ。09年の「籠の中の乙女」では、父親が君臨する家庭から脱出する女性を描き、「ロブスター」(15年)では、45日以内に配偶者を見つけられない独身者が動物に転生させられる寓話を、「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(17年)では、手術の失敗で患者を死なせた医者が生贄を捧げることを迫られる悪夢を描いてきた。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 芸能のアクセスランキング

  1. 1

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  2. 2

    人事局付に異動して2週間…中居正広問題の“キーマン”フジテレビ元編成幹部A氏は今どこで何を?

  3. 3

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  4. 4

    中居正広氏&フジテレビ問題で残された疑問…文春記事に登場する「別の男性タレント」は誰なのか?

  5. 5

    TV復帰がなくなった松本人志 “出演休止中”番組の運命は…終了しそうなのは3つか?

  1. 6

    "日枝案件"木村拓哉主演「教場 劇場版」どうなる? 演者もロケ地も難航中でも"鶴の一声"でGo!

  2. 7

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  3. 8

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」

  4. 9

    ビートたけし「俺なんか悪いことばっかりしたけど…」 松本人志&中居正広に語っていた自身の“引き際”

  5. 10

    フジテレビを襲う「女子アナ大流出」の危機…年収減やイメージ悪化でせっせとフリー転身画策

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…